あなたは私の可愛いお人形、だから離さないわ

「大丈夫ですわ、キラ。みな、キラの考えを理解していらっしゃいます」
 
 ですからキラの思うように……
 
 そう口にすれば、キラの瞳には強い光がともる。
 それに私は頷いて……そして最後にもう一度キラの背を押すのだ。
 そうすればキラは動く……平和のために。
 
 けれどキラは気付かない。
 いいえ、キラだけでなく、カガリさんも、ラミアス艦長も……誰も。
 
 そう、誰もフリーダムがユニウス条約違反だということを、考えもしない。
 
 もしもう一度戦争が起こってしまった時のために。
 それ以外には使わない。
 そう思っていても、条約違反であることには変わりない。
 戦争に備えていたのだと思われても仕方がないことであると、誰も気付かない。
 けれどそれでもいいとわたくしは思う。
 
 
 そう、“わたくしの考える”平和のためには、そんなキラたちが必要なのだ。
 
 
 わたくしが――クライン派がフリーダムの修復などを行えば、たとえ平和を得られたとしてもいずれ“責任”をとらされる。
 けれどキラたちが、オーブで修復を行えば、平和になっても責任等ということは出てこない。
 だからこそ、わたくしはキラを励ます。背を押す。
 そうすればわたくしの思うようにキラは動いてくださる。
 キラは勘違いしていらっしゃるようですけど。
 そう、勘違い。
 貴方が考えて出した答えではないのですよ、キラ。
 それはすべてわたくしの想い。
 わたくしの――――願い。
 
 
 だからキラ、お願いですわ。
 
 
 
 死なないでくださいね。
 
 
 そんなことになれば、いずれわたくしが責任を取らなくてはなりませんもの……決して同意をしない、アスランがいますから。

– END –

お題配布元:追憶の苑

2020年10月25日

Posted by 五嶋藤子