あなたは私の可愛いお人形、だから離さないわ
「大丈夫ですわ、キラ。みな、キラの考えを理解していらっしゃいます」
ですからキラの思うように……
そう口にすれば、キラの瞳には強い光がともる。
それに私は頷いて……そして最後にもう一度キラの背を押すのだ。
そうすればキラは動く……平和のために。
けれどキラは気付かない。
いいえ、キラだけでなく、カガリさんも、ラミアス艦長も……誰も。
そう、誰もフリーダムがユニウス条約違反だということを、考えもしない。
もしもう一度戦争が起こってしまった時のために。
それ以外には使わない。
そう思っていても、条約違反であることには変わりない。
戦争に備えていたのだと思われても仕方がないことであると、誰も気付かない。
けれどそれでもいいとわたくしは思う。
そう、“わたくしの考える”平和のためには、そんなキラたちが必要なのだ。
わたくしが――クライン派がフリーダムの修復などを行えば、たとえ平和を得られたとしてもいずれ“責任”をとらされる。
けれどキラたちが、オーブで修復を行えば、平和になっても責任等ということは出てこない。
だからこそ、わたくしはキラを励ます。背を押す。
そうすればわたくしの思うようにキラは動いてくださる。
キラは勘違いしていらっしゃるようですけど。
そう、勘違い。
貴方が考えて出した答えではないのですよ、キラ。
それはすべてわたくしの想い。
わたくしの――――願い。
だからキラ、お願いですわ。
死なないでくださいね。
そんなことになれば、いずれわたくしが責任を取らなくてはなりませんもの……決して同意をしない、アスランがいますから。
– END –
お題配布元:追憶の苑