再会
「セレーナ!?」
リラ・カナーバはアカデミーの制服に身を包んだ幼馴染を見て、周囲の状況など一瞬で頭から消し去った。
それは名前を呼ばれたセレーナ・マクスウェルも同じようだ。ただし彼女は目を見張っているだけだったが。
「リラ……」
「「どうして?」」
次に出た言葉は二人とも同じだった。
お互いにアカデミーの制服を身に着けている。そしてここはアカデミーで、入学式が行われる講堂へと行く途中。
「リラ、どこに入ったの……?」
ショックを受けつつも、先にはたと気付いたのは年上のセレーナだった。
制服は各科によって若干異なる。けれど確認しなければ気がすまないのもまた事実。
「私は情報処理……管制官養成」
「そう。私はMS工学。整備員養成」
「そ……う、なんだ」
「どうしてそんなに落ち込んでるの? ――――予想は出来たでしょう?」
「そうだけど……」
「たぶん、みんな志願してるよ。ただ、専門が違うだけで」
「わかってるよ」
小さく頷くリラに、困ったような表情を浮かべながらセレーナは続ける。
「兄さまも、志願した。試験のとき、みんな見たって言ってたから――――」
そこまで言って言葉をとめたセレーナの言いたいことが簡単にわかってしまったリラ。
この場合“みんな”とは、幼馴染の男の子全員のことだ。
だから、“彼”も含まれる――――その性格を考慮すれば志願することは目に見えていたけれど、事実を突きつけられるとつらい。
そんなことを考えているリラに、セレーナは少しだけ悲しそうな表情をした。
「エリザベスは艦長養成、マリアは軍医養成だそうよ」
「――――――」
ああ、やっぱり、とリラは思った。
自身が管制官になるために志願したのだ、他の同性の幼馴染たちもそれぞれ得意な方面で志願していてもおかしくはなかった。
最後の一人、チャスカの名前が挙がらなかったけれど、さすがにそれはアスランとパトリック小父さまが止めたんだろうなと思った。血のバレンタインで被害にあい、いまだ目覚めないレノア小母さまにそっくりにコーディネートされ、同じ女性、しかもまだ幼いチャスカにアカデミー入学は二人とも許さないだろう。
自分も同い年だろうに、そう考えてリラはほっとしていた。
そしてそれ以上の会話が続かない。
「……もう、行こうか」
「そうね」
リラの提案にセレーナがうなづくと、二人並んで入学式会場へと向かった。
向かったその先で、二人は各養成コースの最前列――各養成コースの入学試験の成績上位者――に幼馴染みたちがいることに気付いた。
そして代表のあいさつがアスランであることに驚き、納得することになる。
しかしただ一つ。
パイロット養成コースに、他の生徒に隠れてもう一人の小さな幼馴染がいることには気付かなかった。
– END –