結果と未来
「なんてことだ――――」
事前にチャスカ・ザラから渡されていたデータが示していたものと、寸分違わぬ結果が示されていた。
それを目にしたタッド・エルスマンは、周囲にいる護衛のもの言いたげな視線に気付きもせず、ただ己の出した結果を凝視していた――――信じられない想いで。
では、あの発表は何だったと言うのだ。
当時の遺伝子研究所のホープ、サナ・ミサワが出した、あの結果は――――。
しかし、あの発表のあとにサナ・ミサワは殺されている――――つまりは口封じか。
彼女を殺害した者たちにとって、知られてはまずいことを――強要した“事実”を知る唯一の人物だから。
それらを命じたであろう人物を思い浮かべ、タッドはさらに深く思い悩む。
――――これを知ったプラント市民は一体どういう行動をとるのだろう。
最悪、プラントは割れる。
今なおラクス・クラインを平和の歌姫と信じて疑わない者たちと、そうでない者たちとで、プラントは割れる。
もしそうなった場合のプラントの未来を考え、タッドは暗澹たる思いに陥った。
しかし、それでもこの結果を出さないわけにはいかないのだ。あの常識を疑う記事を黙らせ、クライン派に対抗するには、もうこれ以外に方法はないのだ。
そこまで考えると、タッドの行動は早かった。
いつまでも自分の信じていたものにとらわれてはいけない。
早く、早く、動かなければ、いずれプラントは何らかの理由で割れてしまう――――。
そうならないためにも、ギルバート・デュランダルから紹介されたクライン派でもザラ派でもないDNA解析専門の研究者――――マーク・スミスの出した結果を合わせて、発表しなければならない。
– END –